もう一つのフットボール

あなたには全てを賭けて打ち込めるものがありますか?

Another Sky

今日は更にもう一つのフットボールの話をしよう。
女子サッカーという男子サッカーとは環境も境遇も全く違う
もう一つのフットボールの話。

 

彼女は知っている。

今自分の元に集まってプレーしている選手達が
どれだけのことを犠牲にしてその場所に立っているかということを。

だから決して
そのことを無駄にさせたりしない。
呼んだ選手は責任を持って試合でプレーさせる。
もちろん呼んだ選手をできうる限りゲームで使う理由としては
新たなる最強なでしこを2020年までに完成させるテストでもある

それでも

代表チームに合流するには仕事を休まなければならない。
職場の同僚に気兼ねしたり手取りが減ったり
そんな時代のエースだった彼女だからこそ
今もさして変わらない境遇で頑張っている若い子達を
手ぶらで帰らせる
なんて真似は出来ないんだろう。

 

彼女は知っている。

フル代表で成績を残さなければ何も変わらないことを。
そしてもし残せなかった場合
今までの苦労や努力が無かった事にされてしまうことを。

今ピッチに立っている若い選手達と共に
アンダー世代ではことごとく実績を残して見せても
世間一般ではほんの数行のニュースにしかならなかった。
そして同時期にリオの出場権を逃してしまったフル代表チームは
世界ランクは男子よりも全然上にいるにも関わらず
終わったチームにされてしまった。

だからこそ
ワールドカップの出場権を獲得するための試合であの決断をす。

「手に入れた出場権を確定させる」

なでしこの監督としての責任を全うしたのだ。

 

彼女は知っている。

あの数分間
すべての選手が割り切っていなかった事も
だからきっと
あの後のミーティングでいつも言うあの言葉を言っていたはずだ。

悔しかったでしょう?
最後まで勝負したかったでしょう?
だったらまだまだ走り続けなさい。
誰も文句が言えないくらい強い選手にチームになりなさい。

今度こそ絶対にみんなで世界のなでしこになろう。

2020年の東京で
世界一キレイな花を咲かせる為の彼女と彼女達の挑戦は
まだまだ始まったばかりなのだから。